園芸学会雑誌
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マンガンおよび窒素の施用濃度と温州ミカンの異常落葉
神吉 久遠今村 俊清
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1969 年 38 巻 3 号 p. 226-229

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抄録
温州ミカンのいわゆる異常落葉の原因を明らかにするために, 温州ミカン幼木を用い, 培養液中のマンガンと窒素の施用濃度をかえて砂耕試験を行ない, つぎのような結果を得た。
1. マンガンの施用濃度の上昇に伴つて細根ならびに葉中のマンガン含量が増加した。
この場合, ほとんど生育阻害, 根の腐敗, 落葉をおこすことなく, 葉中のマンガン含量を異常落葉園におけると同程度に高め, また少数ではあるが, 特有の褐色斑点を発現させることができた。
2. 窒素の施用濃度の上昇に伴つて細根中のマンガン含量は増加したが, 葉中のマンガン含量には変化がなかつた。
3. 以上のことから, マンガンの過剰吸収はおもに培地中の可給態マンガン濃度の上昇によつておこり, 褐色の斑点の発現がそのより初期的, あるいは, より本質的な症状であると考えられる。
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