園芸学会雑誌
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ブドウ•デラウェアの有核およびジベレリン処理無核幼果中のジベレリン様物質
内藤 隆次中野 幹夫
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1971 年 40 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
満開後21日目に採取したブドウ•デラウェアの有核果およびジベレリン (GA) 処理無核果について, 種子あるいは果肉中のGA様物質を抽出分別し, それらの生物学的活性を比較するとともに, 果肉中の主要GA様物質の同定を行なつた。
ハダカムギはい乳検定の結果, 種子では塩基性酢酸エチル•フラクションで, 有核および無核果ともに果肉では塩基性および酸性酢酸エチル•フラクション, とくに後者で強いGA様活性が認められた。なお種子および果肉の塩基性酢酸エチル•フラクションの活性物質は, ペーパー•クロマトグラフィーにおいてそれぞれまつたく異なるRfを示した。
GA3に換算した果肉中の総GA様物質の活性は, 有核果より無核果において高かつた。
有核および無核果の果肉中の酸性酢酸エチル•フラクションの主要GA様物質は, ハダカムギはい乳, わい性イネ, わい性エンドウ検定で強い活性を示し, キウリ検定では殆んど活性を示さず, GA3およびGA1, とくにGA3と同様の性質であることが認められた。また生物検定あるいは蛍光反応で確認したそれらの物質の薄層クロマトグラム上のRfはGA3ときわめて類似した。したがつてブドウ•デラウェアの幼果中の主要内生GA様物質はGA3と推定される。
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