日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
一般研究論文
18 歳人口減少期のセンター試験の出願状況の年次推移と地域特性
―志願者の2 層構造化と出願行動の地域特徴―
内田 照久橋本 貴充鈴木 規夫
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2014 年 10 巻 1 号 p. 47-68

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抄録

近年,大学入試の改革に関わる議論が足早に進められている。中でも大きな役割を担うセンター試験は,四半世紀に及ぶ歴史の中,18 歳人口の減少や参加私立大学の増加といった,社会的な変化に揉まれてきた。本研究では,センター試験の利用方法の移り変わりを追うことで,その社会的役割や機能の変遷を捕捉し,望まれる改革のあり方を探る。まず受験出願動向の年次推移を分析し,志願者はどのように変わってきたのか,変わらない性質は何かを検討した。その結果,センター試験志願者の2 層構造化が見出された。経年的に安定した中核層と,試験の利用方法が多様な新参入層とが分離した。次に,都道府県別にセンター試験利用率や出願先の属性を分析したところ,地域ごとに固有の特徴的なパターン類型が見られ,センター試験の担う役割は地域ごとに異なることが浮き彫りとなった。さらに県別の18 歳人口の推移予測からは,地域特性や将来展望に即した個別方策の必要性が指摘された。

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