園芸学会雑誌
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貯蔵ピーマン果実の低温障害に関する生理化学的研究 (第4報)
ピーマン果皮および種子のリグニンアルデヒドの検索と貯蔵中の変動
小机 信行緒方 邦安
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1972 年 41 巻 1 号 p. 107-112

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抄録
ピーマン果実を0~6°Cに貯蔵すると短時日で種子のかっ変が生ずる. また果皮面にも pitting が生じ, 果色も黒ずみ, 貯蔵が長期におよぶと果皮が硬化する. 本研究はこのような低温障害と関連し phenylalanine ammonialyase や tyrosine ammonia-lyase の活性およびかつ変基質物質と密接に関係するリグニンについて調べ, かつ変基質物質の生成とリグニン生成との関係を考察したものである.
1. 果皮および種子のリグニンアルデヒドを検索したところ, 3点検出され, 1点はバニリンと同定したが, 他の2点は同定できなかつた.
2. 果皮のバニリン含量は種子よりもはるかに少なく, 6°C-2日後に種子と同様低下したが, その後急増した. 20°C区では2日以後漸次増加の傾向を示した.
3. 種子のバニリン含量は6°C-2日後に当初の約1/2に減少し, 以後急増し, 貯蔵後半までかなり高い値を保持したのに対し, 20°C区では6°C区でみられた貯蔵2日後の減少はみられず, 全貯蔵期間を通じてかなり高い値を保持した.
4. 以上の結果から, バニリンが果皮および種子の主要リグニンアルデヒドであること, およびその含量が6°C-2日後に当初の約1/2に低下するのにかかわらず, 種子かつ変基質が増加する時期であることから, リグニンの生成とかつ変基質物質の生成との間には相反する関係のあることがわかつた.
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