抄録
温州ミカンの可溶性固形物と遊離酸含量に影響する樹令および立地要因の寄与度を, 現象数量化の手法を用いて推定した。果汁の糖度計示度と滴定酸度のいずれに対しても, 地域を表わす要因の寄与度が最大であつた。また, 糖度については, 傾斜方位の寄与度が2位, 樹令の寄与度が3位であつた。一般に, 樹令が増すほど少しずつではあるが着実に糖度が高まつている。標高と海岸からの距離が糖度に及ぼす影響は, 他の要因に比べてかなり低かつた。
いつぱう, 果汁の滴定酸度のほうは, 海岸からの距離が遠くなるにつれてかなり増加した。標高と酸度の関係は, 海抜200m以上のところで酸度の増加が著しく, それ以下のところでは標高差の影響をほとんど受けていない。傾斜方位の影響については, 糖度, 酸度のいずれに対しても, 部分的に常識と一致しない傾向が認められた。