園芸学会雑誌
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花木はち物の促成に関する研究 (第1報)
わい性ハナモモ‘アメンドウ’について
五井 正憲国本 厚小西 国義
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1974 年 42 巻 4 号 p. 353-360

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抄録

自然条件下におけるわい性ハナモモ‘アメンドウ’の花芽形成過程と芽の休眠の推移を調べ, さらに, 低温処理による促成の可能性を追求した.
1. 自然条件下において, 栄養芽は9月上旬から休眠に入り, 9月下旬~11月下旬に休眠が最も深く, 12月下旬~1月上旬には休眠からさめた.
2. 栄養芽の休眠打破には約6週間の低温 (0°~5°C)が必要であるが, 休眠初期や後期には2~4週間の低温でも打破された.
3. 花芽は9月下旬~10月上旬にがく片形成あるいは花弁形成期に入ると, その後は急速に形成が進み, 10月下旬には雌ずい形成期, 11月下旬にはおおよそ雌ずい完成期に達した. その後は2月中旬まで変化しなかつた.
4. 花芽が順調に発達し開花するためには, 雌ずいが完成してのち約6週間の低温期 (0°~5°C) を経過し, さらに温度が高くなる必要がある. 雌ずい形成前に低温を受けたのでは, 花芽は雌ずい完成以後の段階に進まない.
5. 実際の促成では, 11月下旬から0°~5°Cで6週間処理して入室すれば, 1月下旬~2月上旬に, 1月以後に低温処理なしで入室すれば4週間以内に, それぞれ実用的な開花が得られる.

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