園芸学会雑誌
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メロン果実の貯蔵に関する研究 (第2報)
追熟中における呼吸量およびエチレン生成量の変化と品種間差異
北村 利夫梅本 俊成岩田 隆赤沢 経也
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1975 年 44 巻 2 号 p. 197-203

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抄録

前報で, メロン品種‘ライス’と‘アールス•フェボリット’について採取後の呼吸量およびエチレン生成量の変化のパターンに相違のあることを明らかにし, このことと両品種の貯蔵性の違いとの関係について述べた. 本報はさらに, ‘ライス’‘プリンス’‘エリザベス’および‘ハニーキング’の4品種を用い, いくつかの成熟段階で採取し, 前報と同様に20°C下で上記の関係を調査したものである.
1. ‘ライス’は典型的な呼吸の climacteric を示した. エチレン生成は climacteric onset に先行して微量ながら明らかとなり, 呼吸の増大に伴いその生成量は急増し, 両者同時期にピークを形成した. 採取時の熟度の進んでいる果実ほど両者のピークに達するまでの期間は短かくなり, エチレン生成のピーク時の値は大変高まつた.
2. ‘プリンス’の呼吸量およびエチレン生成量の変化は‘ライフ’のような典型的な climacteric 果でみられるものと様相を異にした. すなわち開花後21日に採取の果実では呼吸の増大は認められるが, その増大の時期とエチレン生成の増大の時期とが必ずしも一致しなかつた. 開花後24日に採取の果実では, 呼吸は終始漸減の傾向にあつたが, エチレン生成は採取後3~4日にピークを示した. 採取時の熟度の進んでいる果実ほどエチレン生成のピーク時の値は大変高まつた.
3. ‘エリザベス’の呼吸量は一般に採取後単調に減少したが, エチレン生成は3~4日後にピークを形成した.
4. ‘ハニーキング’の呼吸量の変化は漸減の傾向を示し, non-climacteric 果でみられるような様相であつた. エチレン生成は, 交配後40日に採取の果実では老化にともなつて微量みられ, 交配後55日に採取の果実では採取後10日前後にわたつてごく微量みられたが, 軟化の進展とともに検出されなくなつた. 俗に発酵果と称する果実では果実の軟化をともなう呼吸およびエチレン生成の増大がみられたが, この呼吸の増大は真の climacteric rise とは異なるようである.
5. メロン果実は品種間で採取後の呼吸量の変化のパターンに顕著な相違があり, そのことと品種間における成熟現象および貯蔵性の相違との間に関連性がみられる. すなわち, 比較的日持ちのよい‘プリンス’‘エリザベス’および‘ハニーキング’では, 採取後呼吸が増大することなく追熟を完了するが, 日持ちの悪い‘ライフ’では呼吸の増大とともに追熟する.

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