園芸学会雑誌
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カンキツの着果程度と樹の生長および収量との関係 (第1報)
宮川早生幼木における果実収量と葉の物質生産力
平野 暁森岡 節夫
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1975 年 44 巻 2 号 p. 99-106

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抄録
摘果せずに, 自然状態において, いろいろの程度に着果した5年生宮川早生について, 果実を収穫した後, 樹体各部を切りとり, 着果程度と果実の収量, 樹体の生長および葉の物質生産力等との関係を検討した. ただし, 重量はすべて乾物重であらわし, 着果程度, 収量, 樹体の生長量などは, ほとんど新葉と旧葉とを合計した全葉の単位量あたりで示した.
1. 全般的な傾向として, 樹あたり葉量の多いほど, 樹あたりの全生長量 (1年生葉枝+旧枝生長部+根生長部+果実) は大きかつた.
2. 着果度を全葉1kgあたりの果数であらわすと, 葉1kgあたりに換算した新葉および1年生枝の生長量は, 着果度の高いほど小さかつた.
3. 着果度が高いほど平均果重が小さく, 収量は多かつた. そして, ふつうの着果程度よりやや低い1果あたり40~60枚の樹においては, 葉1m2あたり生果重で1.0~1.1kgの収量があつた.
4. 葉1kgあたりの1年間の全生長量は, 着果度がごく低い樹では2.3~2.5kg/kg•yrであつたが, 着果度が大きくなるにしたがつて増大し, 多結果樹においては, その1.5倍の約3.7kg/kg•yrであつた.
5. 着果度と平均果重または単位葉量あたりの果実収量は, 植物の栽植密度と個体重または土地面積あたりの全植物体収量とに対応しているように思われる. しかし, 植物の栽植密度について成り立つ逆数式は本実験の果実と葉量に対してはあてはまらなかつた.
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