園芸学会雑誌
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走査型電子顕微鏡による温州ミカン南柑4号の花器および幼葉の外部形態の特性
白石 雅也松本 和夫永谷 隆鈴木 理憲繁桝 昭博ウ キヨウタン
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1975 年 44 巻 2 号 p. 107-121

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抄録
温州ミカン南柑4号の花器, 幼果および幼葉の表面構造を走査型電子顕微鏡で観察した. 未受粉柱頭には, 発生初期の小型と成熟した大型の多数の乳頭毛細胞が認められた. 柱頭は Wet stigma であり, 分泌液は未受粉柱頭においても乳頭毛細胞の基部にみられた. やくは4個の小胞子のうからなり, やくの表皮細胞は20μm前後の幅の不規則なしわ状突起を有した. 若いやくの先端部は突出しているが, 成熟したやくの先端部はかん入している. 花糸は底着性で, 合生であつた. 花弁の表面構造には細胞が縦方向に並列した幅15μm前後のしわ状突起が認められ, 縦方向の細胞ほう合部は明瞭であつたが, 横方向のそれは不明瞭であつた.
花柱および緑色を呈し始めた子房(幼果)の表皮には, 気孔の分化が認められたが, とくに幼果において分化は顕著であつた. 幼果の気孔は2個の孔辺細胞と6ないし7個の副細胞を伴ない, 周辺の表皮細胞から顕著に隆起していた. この明期ですでに幼果の表皮細胞の配列はその肥大のためにみだれ始めていた. 幼葉の表面では, 巨大気孔を中心にしてその周辺に多数の小型気孔が観察された. しかし, 幼果におけるような気孔部の隆起はみとめられなかつた.
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