園芸学会雑誌
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ニホンナシ育種における果実品質の数量的研究(第2報)
交雑実生集団の統計学的考察
町田 裕小崎 格
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1976 年 44 巻 4 号 p. 325-329

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抄録

ニホンナシの果実品質を果肉硬度, 果汁屈折計示度, 果汁pHで量的表示し, 果実重量と合わせて4形質を対象とし, 15家系 (家系あたり8個体) の完全兄弟交雑実生集団およびそれらの交配親品種群を測定し, 統計学的分析を行なった.
完全兄弟集団の分散分析において, 全分散成分に対する家系間分散成分比は果実重量, 果肉硬度, 屈折計示度および果汁pHにおいてそれぞれ0.078, 0.265, 0.046および0.066であった. また同時に親品種群を測定し, 各家系の平均とその両親の平均を用いて親子回帰および親子相関を求めた. 果肉硬度, 屈折計示度および果汁pHでは有意とみなされる値が得られ, 回帰係数はそれぞれ1.152, 0.497, 0.644, 相関係数は0.687, 0.560, 0.644であった.
完全兄弟からなる集団における全分散に対する家系分散成分比および親子回帰, 親子相関は遺伝力を推定するのに有効なパラメーターであり, とくに後者が適当とされている.
この実験結果からニホンナシにおいては, 果肉硬度は遺伝力の高い重要な形質であり, ついで屈折計示度および果汁pHが重要で, 果実重量は遺伝力の低い形質であると結論できるであろう.

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