園芸学会雑誌
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クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第8報)
クリの健全組織およびゴール組織ならびにクリタマバチ幼虫中の糖およびアミノ酸について
松井 鋳一郎鳥潟 博高
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1976 年 44 巻 4 号 p. 347-354

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抄録

ゴールの栄養はその肥大とそこに寄生する幼虫の発育を支配していると考えられるので, 感受性, 抵抗性両樹の健全組織とゴール組織中の糖およびアミノ酸について分析した.
1. ゴール部には6単糖としてグルコーズ, フラクトーズ, 5単糖としてキシローズ, リボーズが含まれ, 2糖類としては少量であるがシュークローズが含まれていた. 幼虫の糖は量的には少ないが, その中で主なものは, リボーズとグルゴーズおよび2つの未確認の糖であった.
2. 感受性樹のゴール (幼虫を含む) は健全組織より糖含量が著しく高く, またその構成はグルコーズ, フラクトーズ, キシローズおよびリボーズが主体でシュークローズは多いものと少いものが存在した. 一方, 健全組織は感受性, 抵抗性樹いずれもシュークローズが主体で, 他の糖は少ないかほとんど検出されなかった. 抵抗性樹のゴールは感受性樹のゴールに比較して著しく含量が少なく, 健全組織と同程度であった. その構成も健全組織のそれに類似した. 幼虫に含まれる量は微量で, ゴールの糖含量はほとんどゴール組織のそれを示すと考えられる.
3. ゴール部, 幼虫とも主要なアミノ酸を含むが前者はアスパラギンの含量が多いことに特徴があった. アミノ酸含量は感受性樹のゴールでは健全組織より約6倍多かったが, 抵抗性樹のゴールでは感受性樹のゴールより著しく少なく, 健全部とほぼ同じであった.

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