園芸学会雑誌
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水耕におけるそ菜の無機養分吸収の特性
陳 文孝鈴木 芳夫山崎 肯哉
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1976 年 44 巻 4 号 p. 395-401

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抄録

そ菜の無機養分吸収の特性を調査するため, レタス, トマト, ナスおよびピーマンを供試して実験を行なった.
実験区は園試均衡培養液の第1処方を1区とし, 2区および3区は最近明らかにされた吸収成分割合から算出した組成とした. また, 2区は園試均衡培養液の第1処方に, 3区はその第2処方に準じて調整した.
供試4種類そ菜の定植後から収穫までの生育量, 毎週のチッソ, リン, カリ, カルシウム, マグネシウムのn/w (吸収成分量me/蒸発散吸水量l) および最終収穫時における各無機成分の吸収量をそれぞれ測定してつぎの結果をえた.
1. 各供試そ菜とも, 培養液の組成を異にした場合の生育量, 吸収成分量およびn/wなどには著しい差異がなかった. また, 各そ菜に特有の選択的吸収が認められた.
2. カルシウム吸収のn/wの値はそ菜の種類によって異なり, トマト>ナス>ピーマン>レタスの順であった.
3. カルシウム吸収のn/wの時期的推移はおおむねカリのそれと相反する傾向が認められた.
4. レタス, トマトでは生育が進むにつれて各成分のn/wは漸減したが, 果実を若どりするピーマンとナスにおけるチッソおよびカルシウムのn/wは増加した.
5. 園試処方均衡培養液は, 一般に, 供試そ菜に支障なく使用できたが, 細かく検討するとなお改善の余地のあることが示唆された. たとえば, レタスにおいてはカルシウムの施用割合を減じてもさしつかえなく, またトマトではチッソおよびカリの施用割合を下げ, 相対的にカルシウムの施用割合を上げる必要があると思われる. なお, ピーマンではカリの追加施用が考慮されてよい.

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