園芸学会雑誌
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メロン果実の貯蔵に関する研究 (第3報)
追熟中における揮発性成分生成量の変化と品種間差異
北村 利夫梅本 俊成岩田 隆赤沢 経也
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1976 年 44 巻 4 号 p. 417-421

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抄録

筆者らはこれまでメロン果実の成熟特性に関する品種間差異を調査しているが, 本報では‘ライフ’,‘プリンス’,‘エリザベス’および‘ハニーキング’について, 20°Cで追熟中における低沸点の揮発性成分生成量の変化を比較した.
(1) ヘッドスペース中に含まれる4品種の揮発性成分は質的には同じものであつたが, 追熟中における生成量の変化は品種間で異なり, とくに climacteric pattern を示す‘ライフ’て non-climacteric pattern の他の3品種との間には著しい相違がみられた.
(2)‘ライフ’の揮発性成分生成量は呼吸およびエチレン生成の climacteric 時に急増し, climacteric maximum の1~3日後に最高に達し, その後減少し, 果実の軟熟崩壊を伴つた.
(3)‘プリンス’並びに‘エリザベス’はほぼ同じ傾向を示し, 両者の揮発性成分生成量はエチレン生成のピーク以後果実の熟度の進展とともにゆるやかに増大した.
(4)‘ハニーキング’の揮発性成分生成は非常に少なく, 採取後17~19日ほど経て微量検出され, 果実の軟熟を伴つた. 俗に発酵果と称される果実では, 早期に呼吸の増大と共に揮発性成分が検出された.
(5) 採取時の熟度の進んだ果実ほど揮発性成分生成量は増大したが, 品種間で増大する成分が異なつた.

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