1976 年 44 巻 4 号 p. 422-428
数品種のウメ果実を, 青ウメとして利用される標準的熟度で収穫し, 有孔ポリエチレン袋詰めとして種々の温度に貯蔵し, 外観ならびに内的変化を調査した.
15°CではCO2およびエチレン生成の急増と共に黄化•軟熟したが, 貯蔵可能期間は品種により非常に相違があつた. 10°Cでは各品種とも15°Cに比べてCO2およびエチレン生成量が非常に低く, climacteric 型も不明確となり, 貯蔵期間は大幅に延長された. 5°Cと1°Cでは成熟は進まず, 低温障害あるいは腐敗によつて貯蔵が限られた. 低温障害は通常のものと異なり, 1°Cよりも5~6°Cにおいて極めて急速に現われたが, 障害の発生状況は品種によつて大差があつた.
貯蔵果から逐次に切片を調製し30°CでO2吸収量およびCO2排出量を測定したところ, 1°C貯蔵果のものでは呼吸商が異常に高まつた. 呼吸商急増時には糖含量やエチレン生成も増大し, 外観異常なく健全な果実内でも, 大きな生理的変化の起こつていることが推測された. 5°Cでも程度は低いが同様の傾向が認められた.