園芸学会雑誌
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カキにおけるNAAの摘果機構について (第2報)
NAAの時期別処理が果実内の生長調整物質および諸酵素の活性に及ぼす影響
山村 宏内藤 隆次持田 圭三
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1976 年 45 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

富有成木の満開後5, 10, 15, 20, 30, 40, 80および120日目にそれぞれ NAA 50ppm液を散布し, 果実の発育ステージ別の落果促進効果を比較した. さらに, 各処理時と処理後2日目の果実内のGA-, IAA-, ABA-様物質, パーオキシダーゼ, IAAオキシダーゼおよびタンパクならびに果実離層部組織のペクチナーゼとセルラーゼの定量を行ない, 落果との関連性を検討した.
自然落果は満開後10日から35日ころまで続き, そのピークは満開後20日ころと30日前後にみられた. NAAは満開後30日までの処理で落果を誘起し, 40日目以後の処理では全く効果を示さなかつた.
落果促進効果の顕著であつた満開後10~20日のNAA処理により, 果実内のGAおよびIAA様活性は低下し, ABA様活性は上昇し, またパーオキシダーゼおよびIAAオキシダーゼ活性も高くなつた.
一方, 離層部位のペクチナーゼ活性と落果との対応関係はまつたく認められなかつたが, 無処理果のセルラーゼ活性は自然落果のみられた期間に著しく高く, また満開後5~30日目のNAA処理によりその活性の上昇する傾向がみられた.

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