園芸学会雑誌
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クリのクリタマバチ抵抗性に関する研究 (第9報)
感受性および抵抗性品種の芽のポリフェノール含量について
松井 鋳一郎鳥潟 博高
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1976 年 45 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

1. 芽の発育は, いずれの品種も同一時期でみた場合, age の若いものほど発育の余地が大で, クリタマバチ産卵時に頂芽の位置を占めていた芽も, ゴール形成時までにはかなり発育の進んだ状態にあった.
2. 芽の枝しょう上の位置 (芽の age) とカテコールタンニン含量との関係をみると, 新生の芽では含量が高く, 葉位が下がるにしたがって減少し, 枝の基部の芽で再び含量が増加した. しかし, 感受性と抵抗性の両品種間ではタンニン含量に明らかな差異が認められなかった.
3. クリタマバチ感受性および抵抗性品種間で芽のカテコールタンニン含量に有意差はなかった.
4. 芽の中では, 外方に位置する器官ほどカテコールタンニン含量が高く, りん片は芽全体の約80%以上のタンニンを含んでいた. また, 感受性品種の大正早生と中生丹波は, 抵抗性品種の銀寄より含量が高かった.
5. クリゴール中のカテコール, ピロガロールおよび全タンニン含量は, 健全組織のそれぞれ, 67, 34および38%に低下していた. カルス組織中のタンニンもゴールと同様に低下していたが, 感受性と抵抗性の両品種間ではそれらの含量に差が認められなかった.

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