園芸学会雑誌
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果実•そ菜の肉質に関する研究 (第2報)
モモ果実の追熟に伴なう肉質とペクチン質との関係について
真部 正敏金谷 昌敏樽谷 隆之
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1976 年 45 巻 1 号 p. 97-102

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抄録

白肉種 (倉方早生, 大久保) および黄肉種 (缶桃2号, 5号, 14号) のモモ果実について, 追熟に伴なう肉質の変化とペクチンの関係について調べた.
1. 白肉種のモモは, 追熟がすすむにつれておこる水可溶性ペクチンの増大と塩酸可溶性ペクチンの減少は, 追熟4日までの間に急速に進んだ. それに対して黄肉種の変動はかなりゆるやかなものであつた.
2. 粗製ペクチンの性質について調べた結果, 大久保の水可溶性および塩酸可溶性ペクチンは, 追熟がすすむにつれてウロン酸の占める割合は減少し, ヘキソースは増加する傾向が認められた. エステル化度は大久保の水可溶性ペクチンでは増大し, 塩酸可溶性ペクチンでは減少する傾向を示した. しかし, 黄肉種のペクチンでは, それらの構成糖およびエステル化度の変化は一定の傾向を示さなかつた.
3. 粗製ペクチンの極限粘度について, 大久保の水可溶性および塩酸可溶性ペクチンは, 追熟がすすむにしたがつて著しく低下したが, 缶桃2号および5号はそのような一定の傾向を示さなかつた.
4. 果肉の硬度の低下と可溶性ペクチンの消長, 粗製ペクチンの極限粘度との間には深い相関関係のあることが認められた.

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