園芸学会雑誌
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温州ミカンの着果負担に関する研究 (第4報)
着果樹と不着果樹の物質生産過程について
清水 達夫鳥潟 博高鳥居 鎮男
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1976 年 45 巻 2 号 p. 123-134

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抄録
宮川早生3年生樹を7月中旬に摘果して, 着果区 (1樹当り4コ着果) と不着果区 (1樹の全果実を除去) を設け, 生育に伴う総生産量 (ΔPg), 呼吸による乾物消費量 (ΔR), 純生産量 (ΔPn), 離脱•枯死量 (ΔL) などを求め, 各生育期間および年間の物質生産過程に及ぼす着果負担の影響を明らかにしようとした.
1. 4月5日~5月31日 (ほう芽期~新しようの伸長停止期): この期間の ΔPg は 41.0g であり, そのうちΔR は74%を占めた. 新成器官の生長が著しく, ΔPnの約150%がこれに分配されたが, 各旧器官の重量の減少も著しかつた.
2. 6月1日~7月14日 (新しようの伸長停止期~摘果期): この期間の ΔPg は 48.1g であり, そのうちΔR は60%を占めた. 果実の肥大が目立ち始めた. 新しようの生長は前期より衰え, 旧器官が生長を始めた.
3. 7月15日~9月6日 (摘果期~果実肥大盛期): この期間の ΔPg は着果樹が 90.7g, 不着果樹が 127.7g であり, 両区とも年最高の生産力を示した. そのうちΔR は着果樹では54%を, 不着果樹では52%を占めた. 不着果樹の ΔR/ΔPg は年最低で, ΔPg が最も効率よくΔPnに転化された. 着果樹では果実に ΔPn の37%が分配され, 各旧器官の肥大が顕著であつた. 不着果樹では各器官とも生長が着果樹より旺盛であつた.
4. 9月7日~11月9日 (果実肥大盛期~収穫期): この期間の ΔPg は着果樹が 83.9g, 不着果樹が 98.3g であり, そのうち ΔR は着果樹では55%を, 不着果樹では65%を占めた. 着果樹では果実の肥大が著しく, ΔPn の66%を占めた. 不着果樹では地下部の生長が著しく, ΔPn の74%を占めた.
5. 11月10日~1月11日 (収穫期~発育停滞期): この期間の ΔPg は着果樹が 35.3g, 不着果樹が 28.1g であり, そのうち ΔR は着果樹では39%を, 不着果樹では76%を占めた. 着果樹の ΔR/ΔPg は年最低であつた. 着果樹では収穫後の新たな生長がみられ, その ΔPn は不着果樹を上回つた.
6. 1月12日~2月25日 (発育停滞期間): この期間の ΔPg は着果樹が 7.7g, 不着果樹が11.6g であり, ともに年最低であつた. ΔR/ΔPg は両樹とも年最高であり, ΔPg のほとんどが ΔR で占められ, ともに生長はほとんどみられなかつた.
7. 着果樹の年間の ΔPg は 306.7g であり, 葉に29%, 枝に9%, 主幹部に5%, 地下部に29%そして果実に28%の割合で分配された. 不着果樹の年間の ΔPgは 354.8g であり, 葉に29%, 枝に13%, 主幹部に5%, 地下部に46%そして摘果期までの果実に7%の割合で分配された. 年間の ΔPn は両区でほぼ等しく, 着果樹が 131.0g, 不着果樹が 132.4g であつた.
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