抄録
大型ポットに植栽した4年生のキャンベル•アーリーを用い, 3月中旬に石灰と硫黄華をもつて土壌酸度を調節して, 中性化土壌と酸性化土壌に2分し, さらに, 5月上旬にリン酸の追肥をしたものと無追肥とに分けた. 各区に硫酸銅粉末を土壌に施用して, それらを6月下旬から適湿区とたん水区に分け, それぞれの処理が葉脈黄変葉の発生に及ぼす影響を調査した.
1. たん水処理開始時の土壌 pH は, 中性化土壌で6.3~6.7, 酸性化土壌で 2.4~2.6 であつた. 供試土壌中の有効性リン酸含量は, リン酸追肥区において高く, それは酸性化土壌よりも中性化土壌においてより高かつた. 供試土壌中のN/5 KCl 置換性 Cu 含量は, 中性化土壌よりも酸性化土壌において高く, 両者ともリン酸無追肥区のほうが, リン酸追肥区よりも高かつた.
2. たん水処理によつて, 新しょう基部葉内のN, Kおよび Mg 含量を低下せしめた. たん水処理の影響は, 石灰施用による土壌酸度の中性化およびリン酸追肥の有無にかかわらず, 同じ傾向を示した. 基部葉の葉汁 pHに及ぼす, 土壌酸度およびリン酸追肥の影響は認められなかつた.
3. 葉脈黄変葉は, たん水処理区において発生を見たが, リン酸無追肥区はリン酸追肥区よりも多く, また, 酸性化土壌では中性化土壌よりも多く発生した.
4. 本実験の結果より, 石灰施用による土壌酸度の中性化およびリン酸の追肥は, 葉脈黄変葉の発生を抑制する効果のあることが認められた.