園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
ナツミカン果実の凍結による苦味の増大について
岩田 隆緒方 邦安
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 45 巻 2 号 p. 187-191

詳細
抄録
ナツミカンが冷凍貯蔵されない第一の理由は, 凍結によつて非常に苦味が強くなることにある. 本報は凍結による苦味増大の実際と機構を調査したものである.
1) ナツミカン果実を-20°Cのフリーザーで凍結し, 果肉の苦味について官能検査を行なつたが, 生果との差は非常に大きく, 冷凍果はほとんど食用とならない. 2)剥皮し身割りした袋 (じようのう付き segment) と, じようのうを除いた果肉をそれぞれ凍結し, 果肉の苦味を比較すると前者の方が強いとされた. 3) 液体窒素で凍結した後に-20°Cのフリーザーで貯蔵したものは, 最初からフリーザーで凍結•貯蔵したものより苦味が少なかつた. いずれも冷凍貯蔵中に苦味の変化はないようであつた. 4) 可溶性および全ナリンギン含量は凍結によつても変化しなかつた. 5) 果肉あるいはじようのうを短時間水浸して溶出するナリンギン量を測定したところ, 凍結によつて明らかに増大した. これに対して液体窒素で凍結した果肉からの溶出量には変化がなかつた. 6) 果汁については凍結による苦味の変化がなかつた. 7) 凍結による苦味増大の機構は次のように思われる. 凍結によつて組織が損傷し, ナリンギンが溶出しやすくなるのが原因であるが, 単に溶出総量の大きくなるのが問題ではない. 果肉の一部およびじようのう部にナリンギンが偏在するために, 解凍に伴い果肉表面に局所的にナリンギン濃度が高くなり, これが強い苦味を与える.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top