抄録
未受粉の温州ミカンの柱頭部を電顕で観察すると, 柱頭部は乳頭毛細胞と柔組織から構成されている. 柱頭部の乳頭細胞の表面は網目状の分泌物質によつておおわれている. 乳頭毛細胞壁はクチクラ層とセルロース層から構成され, クチクラ層は乳頭毛細胞基部のやや上部まで続いていた. 分泌物質の発生はクチクラ層の破損, 消失部位において認められる. その部位では, やや電子密度の高い果粒が認められ, その崩壊にともなつて網目状構造が観察された. したがつて. 細胞内で生成された物質がクチクラ層下で融合し, 果粒となり, クチクラ層の破損部から放出されると考えられる. 乳頭毛細胞壁の所々では, 肥厚化が認められる. その部位では, ゴルジ装置および小胞が壁の近くにみられ, 原形質膜は波状を呈しており, おう盛な壁形成過程であると考えられる. 若い乳頭毛細胞は単核であり, 核の周辺には, 数個のでんぷん粒を有するクロモプラストを有し, ゴルジ装置, ミトコンドリア, リボソーム, 小胞, 液胞, 脂肪果粒, 粗面ERなどを有し, 隣接する乳頭毛細胞とは原形質連絡糸で連続していた.