抄録
グラジオラス球茎の休眠に対する栽培期間中の光の影響を, しゃ光処理, 光合成阻害剤散布処理によって調査し, 同時に内生生長調節物質の消長との関係を検討した.
1) 本葉3枚展葉時より, 寒冷しゃでしゃ光して育成された新球茎は, 開花時よりしや光した場合や, 自然条件下で育成された新球茎より発芽が促進された.
2) 光合成阻害剤•DCMU (N′(3,4-dichlorophenyl-N-dimethylurea)) と, PAZ-428 (N′(5-isobutyl-thiadiazol-N-methylurea)) を開花後散布した場合, 新球茎の肥大は劣ったが, 発芽は促進された. またこの処理により, 新球茎の内生生長調節物質は, イソプロピールアルコール:アンモニア:水 (10:1:1v/v) の展開溶媒によるペーパークロマトグラムにおいて, Rf値0.0~0.3の位置に存在する抑制物質が顕著に減少した.
3) 本葉3枚展葉時より, 葉基部をアルミホイルでしゃ光して育成された新球茎は, 発芽が促進され, Rf値0.5~0.8に存在する抑制物質が顕著に減少していた.