1977 年 46 巻 2 号 p. 153-157
ナツダイダイ実生葉の厚さの周期的変動現象が明らかに認められるようになるのは, 5月中旬以降であった.その後, 10月下旬まで周期変動が観察された, 特に6月から9月にかけては, 葉の厚さの変動幅も大きくなり,周期的に変動した. ところが, 12月上旬になると, 変動は不規則となり, 12月下旬には, 周期的変動がほとんど認められなくなった.
空気中の二酸化炭素の濃度を調節して, 上記の変動現象を観察したところ, 夏季においては, 二酸化炭素処理後数分以内に反応が出はじめ, 葉の厚さが増し, 1,000ppm以内の二酸化炭素の濃度範囲では, 二酸化炭素の濃度が高いほど周期変動における振幅が大きくなった.二酸化炭素の濃度を低下させると, 振幅も小さくなった. 一方冬季においては, 二酸化炭素処理の影響は全く認められなかった.
以上の結果から気孔の開閉には根の活性が大きく関与していることが推察されるが, さらに検討の要がある.