園芸学会雑誌
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れんこん表皮の褐変に関する研究
(第1報)褐変物質とその消長
内山 善雄吉松 敬祐井口 卓平
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1977 年 46 巻 3 号 p. 369-374

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抄録

れんこん根茎の表皮に生成する褐変物質の生育中における消長と褐変物質の構成無機元素を明らかにした.
1. 褐変物質は根茎の肥大とともに増加し, 地上部茎葉の枯死後減少した. 褐変現象の消長は酸化, 還元の条件によって左右されるものと思われる.
2. 褐変物質は根茎の第1節, 2節に比較的少なく,第3節, 4節に多かった. また褐変物質の付着状態は,根茎の節位別付着量の順位方向と, 各節内における付着部位の方向が相反する方向性をもって分布していた.
3. 褐変物質の主要構成無機元素は鉄で, ほかに少量のマンガンもつねに共存することが判明した.
4. 根茎表皮の明度は褐変の程度をよく表現し, 鉄,マンガン含量と負の相関関係を示した.
5. 堆きゅう肥は褐変現象を抑え, 褐変の消長に重要な役割を演ずるものと推考された.

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