園芸学会雑誌
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日本産切花ギクの日長反応
ラントン F.A.
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1978 年 47 巻 2 号 p. 237-242

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抄録

イギリスで普及している周年生産切花用5品種を対照に用いて, 日本産切花用22品種の日長反応を調査した. これらのうち, 日本における自然開花期が9月以前の夏ギクおよび8•9月咲き品種は, 量的短日植物 (quantitative short-day plant) の反応を示した. すなわち, 花芽の分化とその発達は, 長日下より短日下で促進された. しかし, "めざめ" は中性に近い反応を示した. 秋ギクおよび寒ギクも, イギリスの周年生産用品種と同様に, 量的短日植物の反応を示した. しかし, 夏ギクおよび8•9月咲き品種は, 長日下で側らいあるいは主らいが開花に至るという点で, 秋ギク•寒ギク品種と相違している.
夏ギクおよび8•9月咲き品種では, 自然開花期の遅い品種ほど, 長日下で花房形成までに形成される葉数が増加した. したがって, 長日下で形成される葉数は, 夏ギクおよび8•9月咲き品種の自然開花期を決定する一要因となっているものと思われる. また, 短日下における花芽発達の遅速は, 秋ギク•寒ギクの開花期を決定する一要因であるとみられる.
供試した日本産品種のうち, 少くとも2品種の特性は,イギリスの周年生産用品種の改良に有用であると考えられた.

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