園芸学会雑誌
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Diaminomaleonitrile (DAMN) に関する研究
(第1報) DAMN のキク挿し芽の発根および生育促進効果について
白川 憲夫富岡 博実小高 昭典
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1978 年 47 巻 2 号 p. 261-272

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抄録

Diaminomaleonitrile (DAMN) の植物生育促進作用を, とくに根部生育促進効果を中心に検討した.
1) DAMN 水溶液処理後のキク挿し芽の生育は, 水耕培養液中および挿し床中いずれでも促進され, 24時間処理での最適処理濃度はゲイアンの場合50~100ppmであり, α-NAAおよびβ-IAAと同様, 発根株数, 根数, 根長, 根重, ならびに茎葉重の増加作用を示す.
2) DAMN の発根促進作用を発現させるためには, 75ppm処理の場合, 24時間処理がもっとも適当である.
3) キク挿し芽を24時間 DAMN 水溶液処理し, 根部を生育促進させる場合の有効な処理濃度は, ゲイアン, 紅乙女(紫), 乙女桜 (淡黄)に対して25~100ppm, 竜の珠には25ppm, 草庵の秋, 乙女桜 (白), 清水の輝に対しては50~100ppm, 雲仙には50ppm, 白アルプスには100ppmであった.
4) キク挿し芽を DAMN タルク粉末処理により, 発根および生育促進させる場合, 0.25~0.5%粉末処理は, いずれのキク品種に対しても有効である.
5) DAMN タルク粉末処理により, キク根部の生育を促進させる場合, 床土は砂および鹿沼土がもっともよく, ついでバーミキュライト, 砂•バーミキュライトの順となる.
6) DAMN 粉末処理により, キク挿し芽根部の生育を促進させる場合, 担体はジークライト, フバサミクレー, タルク粉末製剤よく, ついでパーライト, カオリンがすぐれている.
7) DAMN タルク粉末処理によりキク根部の生育を促進する場合, 塗布面積は挿し芽切断面より1~2cmの範囲が適当である.
8) DAMN タルク粉末処理されたキク根部挿し芽は, 挿し芽後10日目から発根し, その後は経時的に増加する. 移植最適日数は, 挿し芽後27~34日目と考えられる.

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