抄録
臭化メチル (MBr) の土壌くん蒸消毒が, メロンとキュウリの生育, 植物体と土壌の臭素 (Br) 含量に及ぼす影響を明らかにするため, これら両野菜を栽培した. メロンの全乾物重は, MBr600g/m3で少なくなったが,果実の可溶性固形物含量はやや高かった. メロンの葉のBr含量は, MBr 0,200,400,600g/m3で, それぞれ203,540,3663,6783ppm であった. メロンの果実のBr含量は, 果皮が最も高く, 果肉外壁部がこれに次ぎ,果肉内壁部が最も低かった. 果肉のBr含量を乾物重当たりでみると, MBr 0,200,400,600g/m3の内壁部では, それぞれ47,24,109,228ppmであり, 外壁部では, それぞれ60,154,137,323ppmであった.13.3%の粘土を含む磐田壌土で栽培したキュウリの生育, 収量は, MBrの使用量によって影響されなかった. しかし, 葉, 根, 果実のBr含量は, MBrの使用量の増加とともに高まった. 35.8%の粘土を含む高松軽埴土で栽培したキュウリの生育, 収量は, MBrの使用量によって影響されなかった. 乾物重当たりの葉, 根, 果実のBr含量は, 磐田壌土よりも高松軽埴土で著しく高く, MBr 0,200,400,800g/m3における高松軽埴土の果実のBr含量は, それぞれ202-240, 590-900, 1080-1742, 1750-2788ppmであった. キュウリのBr吸収量は, MBrのどの使用量区でも時間の経過とともに増加したが, 土壌のBr含量は逆に減少した.