園芸学会雑誌
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チューリップの栄養繁殖に関する研究
(第2報)リン片培養における不定芽の形成について
西内 義男
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1979 年 48 巻 1 号 p. 99-105

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抄録
前回, 十数種のチューリップについて, リン片培養を行なった結果, ′Apeldoorn′ と T. hegeri において不定芽状突起の発生がみられたことを報じたので, 本報ではこれらについて, 更に不定芽の形成や生育の条件などについて検討した.
′Apeldoorn′ の培養リン片における不定芽の形成は, Kinetin の共存下で, 2,4-D 1.0~1.4mg/lを加えると最も良好であった. また Kinetin 単独添加の場合には, カルスも不定芽も形成されないが, 2, 4-Dの共存下ではKinetin 3.0mg/lの添加により不定芽形成は最も促進された.
不定芽の形成は培養時期の違いによって大きな差異がみられ, ′Apeldoorn′ では8月, T. hegeri では5月に培養すると不定芽が形成され, この他の時期ではほとんど形成されなかった.
培養リン片より生じた不定芽はNAA及び Kinetin の低濃度の培地に移植すると良好に生育し, これらを室内明所で更に2~3カ月間培養すると, 多くの不定芽において, その基部が球根様に肥大するものと, 基部からドロッパー様に培地に伸長生長するものがみられた. しかし最終的に小球根として残ったものはわずかであった.
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