抄録
低温感応苗齢に達したカリフラワーの′野崎早生′とブロッコリーの′早生緑′を用い, 温度の日変化が花らい形成に及ぼす影響を調べた.
1. 一日の温度を二分し, 第2相 (午後5時から午前9時までの16時間) の温度を10°Cとして, 第1相の温度 (午前9時から午後5時までの8時間) を変えて両植物を35日間育てると, カリフラワーは第1相の温度が15°及び20°Cでは花らい形成がみられたが, 第1相の温度が10°, 25°及び30°Cでは花らいは形成されなかった. 着らい節位は20°Cの方が15°Cより高かった. ブロッコリーの花らい形成は第1相の温度が15°, 20°, 25°及び30°Cでみられたが, 第1相の温度が高くなるほど着らい節位は高くなった.
2. 温度に日変化を与えて45日間育てると, カリフラワーの花らい形成は第2相 (午後5時30分から午前8時30分までの15時間) の温度が10°及び15°Cで第1相 (午前8時30分から午後5時30分までの9時間) の温度が15°及び20°Cの時にみられたが, 第1相の温度が25°及び30°Cになると花らいは形成されなかった. ブロッコリーの花らい形成は第2相の温度が20°Cで第1相の温度が15°及び20°Cの時にみられたが, 第1相の温度が250及び30°Cでは花らい形成はみられなかった.
3. カリフラワーを, 第1相 (午前7時から午後7時までの12時間) の温度は25°Cで第2相 (午後7時から午前7時までの12時間) の温度を15°あるいは25°Cとして6週間処理したが, 処理期間中に花らい形成は両区共みられなかった. その後戸外におくと, 第2相の温度が15°Cであった区において, 花らい形成がより早くみられた.
4. カリフラワーを用い, 第1相の温度は25°Cで第2相の温度を15°あるいは25°Cとして, 10週間処理をした. その結果, 処理開始後7週目にはいずれの区でも花らい形成はみられなかったが, 処理開始後10週目には第2相の温度が15°Cであった区においてのみ花らい形成がみられた.
5. したがって, 第2相の温度が低温感応に十分な低温条件で第1相の温度を変えて育てると, 第1相の温度が高くて脱春化により花らい形成が遅れている場合でも, 低温時に受けた低温刺激は蓄積されており, その後に低温要求が充足されると花らい形成に至ると推察される.