抄録
前報において, シクラメンは植付けた状態の塊茎の上部を切除したのち, その切断面を分割することによって栄養的に繁殖が可能であることを報告した.
本報では, 繁殖のための適正な塊茎頭部切除の位置及び分割の大きさについて検討した. また, 塊茎切断面及びその周縁部から発達する不定芽並びに塊茎表皮面に生ずる不定芽の発生位置を解剖的に観察した.
1. 塊茎頭部切除の位置及び分割の大きさ
塊茎上部3分の1を切除してから, その横断面を1cm方形に分割することが当繁殖に最も適合した.
2. 不定芽原基の発生位置
切断面からの場合, 不定芽原基は切断した維管束の切口及びその周辺に発生した. 切断面の周縁部からの場合, 原基は周皮と傷い周皮が連結する位置の分裂層に生じた. また表皮面に現れる不定芽の葉原基はコルク形成層近ぼうから発生した.