園芸学会雑誌
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れんこん表皮の褐変に関する研究 (第3報)
褐変に及ぼす生長調節物質と土壌還元の影響
内山 善雄吉松 敬祐
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1980 年 49 巻 3 号 p. 383-391

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抄録

数種生長調節物質 (エスレル, 2,4-D, MH) の葉面散布並びに土壌の還元化等の処理によって変動する根茎の生体電位, 呼吸特性値を測定し, 褐変現象を検討した. その結果, 以下の知見を得た.
1. 根茎の褐変がエスレル及びMH処理で増加し, 2, 4-D, 茎葉の切除及び土壌の強い還元化処理で減少した.
2. 根茎生体電位の日変動は, 常に負側で推移し, 深夜に正側への最高値 (マイナス) を, 早朝に負側の最低値を示した.
3. エスレル及びMH処理によって電位変動域が負側へ低下し, 2,4-D, 茎葉切除, 土壌の強い還元化処理では正側へ上昇した.
4. 処理は概して根茎のCN-非感受性呼吸への移行を早め, アスコルビン酸基質呼吸の増加率を抑制した.
5. CN-感受性呼吸にアスコルビン酸が関与したときの特性値の変動と褐変とは負の相関を示した.
6. 重回帰分析では夜間の電位量が根茎の褐変に対し72%の寄与率を示し, アスコルビン酸基質下のCN-感受性呼吸とQ (呼吸商) の2変数が67%の寄与率を示した.

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