園芸学会雑誌
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リンゴ茎頂の生長に及ぼす生長調節物質及び糖の影響
福井 博一今河 茂田村 勉
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1981 年 49 巻 4 号 p. 549-556

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抄録
枝の生長機構を明らかにすることを目的として茎頂培養の手法を用い, 茎頂の生長に及ぼす生長調節物質及び糖の影響について検討した.
1. NAAは葉の分化, 生長に対しほとんど影響を及ぼさず, むしろ高濃度のNAAは抑制的であった.
2. BAは葉の分化, 生長ともに促進し, 濃度が高くなるにしたがってその作用は増大した. また培養6週間後も生長を続け10μMでは分化葉数で対照区の3倍, 葉長では7倍を示した.
3. GAは節間生長を促進しなかったが, 葉の分化, 生長が観察された. しかし0.1μM以上では差がなく濃度上昇に伴なう促進効果の増大はみられなかった. また培養4週間以後ではほとんど生長を示さなかった.
4. BAとNAAを組み合わせた区ではNAA濃度が高くなるに従ってBAの葉の分化, 生長の促進効果はみられなくなり, NAAの作用はBAの促進効果と拮抗的であった.
5. NAA, BA, GAの単独添加区ではカルス形成に影響はみられなかったが, NAAとBAを組み合わせた区では活発なカルス形成が観察されBA, NAAともに濃度が上昇するにしたがって, カルス形成率及び生長の程度は促進された.
6. シュクロース濃度が低下するとBAの濃度にかかわりなく葉の分化, 生長は抑制され, 糖はBAの存在とは無関係に生長の限定要因となった.
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