抄録
ナシ菊水, 長十郎及びカキ富有果実の撃衝抵抗並びに圧縮抵抗性を調査した.
1. ナシ菊水の場合, 果肉硬度と衝撃による受傷程度との間には一定の関係が認められなかったが, 圧縮による受傷程度については, 20°C下で15日後になり果実硬度 (強度) が低下すると受傷程度は増大した.
2. 長十郎と菊水を比較すると, 菊水の方が衝撃, 圧縮に対し受傷しやすかった.
3. 菊水の場合, 果肉部位別では果底部がやや受傷しやすかったが, 果肉硬度は果頂部, 赤道部と比べ差はなかった.
4. ナシ菊水では衝撃と圧縮により受ける傷の形態は異なったが, 共に果皮直下の果肉部が受傷しやすかった. 一方, カキ富有では過熟果を除き, 果皮直下の果肉部は受傷しにくく, また傷の形態も果実の成熟に伴って変化した.
5. カキ富有を20cmの高さから厚さ2.7cmの板上に落下させ, 衝撃を与えた場合に水浸状の傷がつく果肉硬度の上限限界は径5/12inプランジャー付マグネステーラー硬度計では15lbであり, また2mm/minの速度で20kgWまで平板圧縮した場合には果実硬度 (強度) が2.3~2.4kg/mm以下になると受傷程度は増大した.