抄録
春光り一号カンランの幼植物を3段階のNO3-N濃度(10, 100, 500ppm N) とSO4-S濃度(1, 10, 50ppmS)の組合せによる9種類の培養液で67日間栽培し, これらの処理が植物の生育と化学組成におよぼす影響を調査した.
N供給量が100か500ppmの場合にはS供給量の増加にともない植物乾物重は上昇したが, N供給量が10 ppmの場合にはS供給量に関係なく植物乾物重は低かった. 最高の結球収量は100ppm N•10ppm S区で得られ, 1ppm Sか10ppm Nの場合にはほとんど結球収量は得られなかった. 植物の全N含有率はN供給量の増加で大きく上昇し, S供給量の増加でわずかに低下した. 植物の全S含有率はS供給量の増加で大きく上昇し, N供給量の増加でわずかに低下した. 結球収量と外葉の全Nあるいは全S含有率との関係より, 全N含有率が2%以下か全S含有率が0.1%以下の場合には高収量は得られないと考えられた. 全N/S含有率比は4から235まで変動したが, 10~20の範囲にあるときに結球は効率良く肥大した. N欠乏植物では糖含有率が低く, またS欠乏植物では糖含有率と蛋白(80%エタノール不溶)N含有率が低く, 非蛋白(80%エタノール可溶)N含有率がきわめて高かった.