園芸学会雑誌
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温室メロンの各器官の生育過程と窒素の蓄積について
狩野 広美籠橋 悟景山 美葵陽
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1981 年 50 巻 3 号 p. 317-325

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抄録

温室メロンをくん炭栽培して, 各器官の生育と各器官への窒素の蓄積の関係を検討した結果, 次の点が明らかになった. (1) 果実の新鮮重の増加速度は, 交配後直ちに急激に上昇し, その後, 交配後30日ころから低下するが, 収穫時でも最高値の50%程度の速度を保つので, 果実は条件が良ければ収穫するまで肥大し続ける性質を持っていると考えられる. (2)葉および茎では, 窒素量および乾物重の増加が交配後30日ころまでに終了するのに対して, 果実では, 収穫まで増加し続けるので, 交配後30日以降に吸収される窒素と光合成される炭水化物は, ほとんど果実に取り込まれると考えられる. (3) 果実の新鮮重の増加および乾物重の増加は窒素の蓄積とは対応していなかった. しかし, 果実の生理を考慮すると交配後10日ころまでの養分吸収量は果実の肥大に影響を与える, また, 果肉の組織を密にして可溶性固形物含量を高めるためには, 交配後35日ころから収穫まで, ほとんど窒素の吸収をさせないことが好ましいと考えられる.

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