園芸学会雑誌
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乾燥と湿潤の交互貯蔵および過酸化水素浸漬によるグラジオラス木子の発芽促進
今西 英雄
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1981 年 50 巻 3 号 p. 355-362

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抄録

1. 実際栽培において発芽率が極端に低い品種‘Vale-ria’の木子を材料として, 発芽に及ぼす貯蔵条件および薬品浸漬処理の影響を調べ, 発芽促進の可能性を検討した.
2. 湿潤貯蔵は乾燥貯蔵に比べ, 木子の発芽率を低下させた. また6°C恒温貯蔵に比べ, 室温あるいは6°と26°Cの日変温に貯蔵した方が発芽率は高くなった. 26°Cでの貯蔵は木子の休眠を持続させた.
3. 室温下で乾燥と湿潤を1~3週の間隔で交互に与えると, 外皮に割れ目を入れた場合と同じ効果を生じ, 発芽が著しく促進された. またこの乾燥と湿潤の交互貯蔵は植付け前に1週間隔で3回行えば十分有効であることが示された.
4. 過酸化水素の3~6%液に3~24時間, 木子を浸漬した後植付けると, crack 球とほぼ同じ発芽促進が認められた. 他品種を加えたほ場での発芽試験においても, 過酸化水素浸漬処理は発芽率を高め, 発芽勢を早めることが明らかにされた. このため過酸化水素浸漬処理は外皮に割れ目を入れる処理にほぼ確実に代り得るものであり, 植付け前の予措として勧められる.

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