園芸学会雑誌
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ウンシュウミカンによる冬季吸収窒素(15N)の分配と春季における再配分
加藤 忠司久保田 収治Surno BAMBANG
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1982 年 50 巻 4 号 p. 421-426

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抄録

冬季に吸収された窒素の温州ミカンにおける分布と春季における再配分を明らかにするため, 15N-硝酸を使って1976年に実験を行なった.
厳寒期における窒素の吸収量は初夏 (6月上旬) の約1/10であった. また吸収された窒素の90%以上が根部に留まり, 地上部へ移動した量は10%に満たなかった. 根部にあってはとくに細根に多く分布した. 春季にはこれら窒素のかなりの部分が地上部へ移動し, 吸収15Nの分布は根部24%, 地上部旧器官36%, 地上部新生器官40%となった. 地上部新生器官のなかにあって花器が最も高い重窒素濃度を示した. 新生器官の旺盛な伸長期にあっても1年生葉は15Nのシンクとして働いた.
冬季吸収窒素が地上部へ移動する際の主要窒素化合物は硝酸およびアスパラギンであると推測された.

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