園芸学会雑誌
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ナシ‘二十世紀’のユズ肌病発生樹および健全樹における果肉中の不溶性 K, Ca, Mg 含量の差異
田辺 賢二林 真二
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1982 年 50 巻 4 号 p. 427-431

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抄録
障害発生樹および健全樹の果実について, アルコールおよび水に不溶な果肉成分をさらに0.2%蓚酸アンモニウム, 続いて0.05N HCl で抽出し, それらの分画中のK, Ca, Mg 含量を比較し, 障害発生との関連を調べた.
1) 0.2%蓚酸アンモニウム可溶性分画におけるK含量の動きをみると, 7月中旬に肉眼的に障害の発生が認められる早期発生型の障害発生樹では, 5月中旬以後健全樹に比べて含量が著しく高かった.
また8月下旬から9月上旬に障害の発生が肉眼的に認められる晩期発生型の障害発生樹においては, 7月上旬以後健全樹に比べてきわめて高かった.
一方この分画中の Mg 含量についてみると, 早期発生型の障害発生樹では5月上旬以後健全樹よりやや高い傾向を示した. また晩期発生型の障害発生樹では, 7月下旬以後にやや高くなる傾向を示した.
2) 0.05N HCl 可溶性分画においては, 8月上旬ごろより障害発生樹の Ca 含量が健全樹のそれよりもやや高い傾向を示した.
3) 以上より障害の発現が肉眼的に観察可能となる時期の30~40日前に0.2%蓚酸アンモニウム可溶性のK含量が果肉中に増加することが, 障害発生に結びつくものと考えられた.
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