園芸学会雑誌
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グラジオラス木子の休眠程度と発芽温度との関係
今西 英雄
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1982 年 50 巻 4 号 p. 503-510

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抄録
1. 収穫調製後の種々の期間室温下で乾燥貯蔵したグラジオラス木子を寒天培地に置床し, 10~30°Cの種々の温度下において, 木子の休眠程度と発芽温度との関係を調べた.
2. 発芽可能な温度域は収穫後最も早い12月の置床では全くないか, 極めて狭かったが, 置床時期が遅くなるにつれて10~15°Cから10~25°Cへと広がる傾向がみられ, その広がりを示す時期は剥皮球の方が早かった. なお30°Cではいずれの置床時, 品種においてもほとんど発芽がみられず, 発芽の限界温度に近いと考えられた.
3. 木子の好適発芽温度はその休眠段階に応じて異なり, 休眠がまだ完全に破れていない休眠後期の段階では15°C前後, 休眠の破れた段階では20°C前後にあることがわかった.
4. 室温乾燥貯蔵を収穫の翌々年の春まで続けると, 発芽可能な温度域が広がり, 発芽率が高くなることから, 発芽促進に有効であることを明らかにした.
5. 休眠の深い段階で置床した木子は10~30°C, とくに20~30°C恒温下で湿潤に保てば, 1年以上不発芽の状態に保持できるが, 次第に休眠が浅くなっていくことがわかった.
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