園芸学会雑誌
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マサキの緑枝挿しの発根における光の役割
大石 惇塩原 佳子町田 英夫細井 寅三
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1982 年 50 巻 4 号 p. 511-515

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抄録
マサキの緑枝挿しの発根における光の役割を明らかにするために, 以下の実験を行い, 次のような結果を得た.
1. 9~10月に行った挿し木において, 異なった枚数の寒冷しゃで遮光したところ, 発根率ではほとんど変化がみられなかったが, 根数及び根重では遮光の弱い区で優れる傾向を示した.
2. 挿し木中の異なった時期に暗黒並びに摘葉•摘芽処理を施し, それらが発根に及ぼす影響を比較調査したところ, 挿し木14日後以前に暗黒処理を開始した挿し穂の発根率が葉•芽の着生の有無によって著しく相違し, この時期における葉及び芽のもつ光合成以外の要因の働きが発根率に大きく関与することが推察された.
3. 暗黒処理の開始が遅くなるにつれて, 根数と根重がしだいに増大し, かつ, いずれの開始期のものも, 葉芽の着生の有無によってかなりの相違がみられたことから, 挿し木期間を通じて光が発根に密接に関係し, 発根に対する葉及び芽のもつ光合成以外の要因の働きが大きいことが推察された.
4. 自然日長に合わせた人工照明下の挿し穂について, 挿し木期間の前半期と後半期にCO2を含まない空気を与え, それらの発根量の相違から発根と光合成との関係を調査したところ, 発根率に対しては光合成はほとんど関与せず, 後半期における光合成が発根に対して重要な役割を果たすことが認められた.
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