園芸学会雑誌
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組織培養によるヒメサユリ (Lilium rubellum Baker) の繁殖, 特に茎切片の子球形成について
新美 芳二渡辺 宏和
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1982 年 51 巻 3 号 p. 344-349

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抄録
1. ヒメサユリ (L. rubellum Baker) の組織培養による繁殖を効果的に進めるため, 既に報告した葉(9) の他に鱗片 (対照) と同等またはそれ以上の効率で子球を形成する植物体部分があるかどうから芽期から開花期までの植物体を用いて検討した.
2. 花被片, 花糸, 花柱及び茎は子球を形成したが, それは採取時期によって異なった. すなわち花被片や茎は開花4週間前及び同2週間前, 花柱や花糸は開花時に採取した場合に比較的高い子球形成能力を示した.
3. 花被片, 花糸及び花柱は, それらの基部側からの切片が高い子球形成率を示し, 茎では頂部付近からの切片が多くの子球を形成した.
4. 萠芽後比較的早い時期に採取した茎の頂部5cmから調製した節切片及び節間切片はともに多くの子球を形成し, 特に節切片は非常に高い子球形成能力を持つことがわかった.
5. 本研究の結果から, ヒメサユリの組織培養による子球増殖のために, 花被片や茎は外植体としてきわめて有効で, それらの鱗片とほぼ同等かそれ以上の子球形成能力を持つことがわかった.
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