園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
白ワイン用原料ブドウ‘セミヨン’‘シルバーナー’ ‘サントリー•ブラン’の品種特性について
山川 祥秀
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 52 巻 2 号 p. 145-152

詳細
抄録
白ワイン用原料ブドウ‘セミヨン’‘シルバーナー’‘サントリー•ブラン’について, 果実成熟中における果汁成分の経時的変化と栽培上の特性を調査した.
1. 果粒重は‘セミヨン’が9月下旬2.7g,‘シルバーナー’が9月上旬2.5g,‘サントリー•ブラン’が9月中旬2.4gの最大値に達した.
2. 果汁pHは完熟期,‘セミヨン’はpH 3.3,‘シルバーナー’‘サントリー•ブラン’はpH 3.5になった. 後の2者は果汁pHの高い品種であった.
3. ‘シルバーナー’‘サントリー•ブラン’は酸度が9月上旬で0.6g/100ml以下となった. したがって, これらは酸度に注意して収穫時期を決定する必要のある低酸度の品種であった. 他方‘セミヨン’は10月下旬まで0.7g/100ml以上の酸度を示した.
4. 完熟期,‘セミヨン’‘サントリー•ブラン’の果汁糖度はそれぞれ18%以上となり,‘シルバーナー’は16%であった.
5. 完熟期, G/F値とT/M値は‘セミヨン’と‘シルバーナー’においては共にそれぞれ約1.0, 1.5であり, ‘サントリー•ブラン’は0.9, 2.0であった.‘サントリー•ブラン’は果糖と酒石酸の多い品種であった.
6.‘シルバーナー’と‘サントリー•ブラン’は開花期にはべと病に弱かった. また低酸度になりやすいことから寒冷地を適地とする.‘セミヨン’は晩腐病に弱かった.
7.‘セミヨン’ワインは‘セミヨン’らしさを持った高品質ワインであった.‘シルバーナー’は特徴の少ないワインであった.‘サントリー•ブラン’は高貴なアロマを持ったワインであったが, 酸味がやや不足していた.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top