園芸学会雑誌
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バナナ果実追熟中のアルコール脱水素酵素の活性増大及びエタノールの増加
兵藤 宏池田 典代長谷 彰田中 邦明
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1983 年 52 巻 2 号 p. 196-199

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抄録
バナナ果肉中のアルコール脱水素酵素の活性は, 追熟に伴って, エチレンの生成や呼吸の増大と共に, 著しく増大した. それに遅れて果肉中のエタノール含量は顕著に増加した. バナナ果肉のアルコール脱水素酵素の最適pHはアセトアルデヒドのNADHによる還元では7.5,一方エタノールのNAD+による酸化は9.5であった.またpH 7.0では, アセトアルデヒドの還元の速度がエタノールの酸化の速度より15倍も速かった. これらのことはバナナ果肉中では, アルコール脱水素酵素はエタノール生成の方向に有利に働いていると考えられる.バナナ果肉は, 追熟に伴い, 解糖系による糖の分解が促進される. 特にフルクトース1, 6-二リン酸の増加が著しい. ピルビン酸デカルボキシラーゼの活性はほとんど変化はみられなかった. したがって追熟に伴う果肉中のエタノールの増加は, アルコール脱水素酔素の活性増大が大きな起因をなしていると考えられる.
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