園芸学会雑誌
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薄層クロマトグラフィーによるトマトのカロテノイド色素の分析並びに橙色系トマトにおいて新しく同定されたシス型γ-カロテン
城島 十三夫小倉 弘司
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1983 年 52 巻 2 号 p. 200-209

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抄録

黄色系, 赤色系及び橙色系トマト果実のカロテノイド色素を, 薄層クロマトグラフィー (TLC) と分光光度法によって分離し同定した.
トマトカロテンのTLCについて, 種々の吸着剤と展開溶媒系を検討し, MgO:HSC:Cel (10:9:1) と,n-ヘキサン:イソプロパノール:メタノール (100:2:0.2) の組み合わせが, 分離及び同定に最も好適であることを示した.
黄色系トマトの色素においては, β-カロテン及び小量のリコピンが, また赤色系トマトの色素においては, フィトエン, フィトフルェン, β-, ζ-及び, γ-カロテン, ノイロスポレン及びトランス•リコピンが同定された.
橙色系トマトにおいては, フィトエン, フィトフルエン, β-及びζ-カロテン, トランス•ノイロスポレンと2種のシス•ノイロスポレン及びトランス•リコピンと4種のシス•リコピンが同定された. さらにシス型のγ-カロテン (プロ•γ-カロテンと考えられる) が, プロリコピンと同じスポット内に含まれることを初めて明らかにし, プロ•γ-カロテンの形成経路の可能性を示唆した.
なお, 展開した薄層板を流動パラフィンに浸すことによって, 分離したカロテンスポットの吸光度を, クロマトスキャナを用いて, 370~375nm及び440~445nmの波長で容易に測定できることを示した.

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