園芸学会雑誌
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希釈した海水が異なる生育段階のメロンの耐塩性に及ぼす影響
糠谷 明増井 正夫石田 明
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1983 年 52 巻 3 号 p. 286-293

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抄録
基本培養液で希釈した海水の処理が, ステージI (定植時から受粉時), II (受粉時から果実ネット発達期),III (果実ネット発達期から収穫時) の各生育段階におけるメロンの耐塩性に及ぼす影響を明らかにするため, 定植時から収穫時まで栽培した. 処理濃度は, 砂耕および土耕で0, 250, 500, 750, 1,000ppm Cl, 養液耕で0,1,000, 2,000, 3000, 4,000ppm Clとした. 実験終了時の全植物体乾物重および果実新鮮重は, 砂耕, 土耕,養液耕とも海水濃度が増加するにつれて減少した. ステージII, IIIにおける生育量の増加は, 海水高濃度区で減少した. 生育は土耕より砂耕で抑制された. 塩害症状は, 砂耕では1,000ppm ClのステージIIとIIIでわずかに現れ, 養液耕では3,000, 4000ppm ClのステージIの初期にのみ現れた. 砂耕, 土耕, 養液耕のステージIIIでは, 海水濃度が増すにつれて葉中のClとNaは増加し, SO4と浸透ポテンシャルは減少した. 土耕と砂耕を比べた場合, 葉中ClとNaはどのステージでも砂耕で高い傾向にあり, 特に葉中ClはステージIで著しく高かった. 砂耕における生育抑制の原因の一つは, 砂耕のステージIで葉に集積したClとNa, あるいはCl, Na単独の影響であると考えられる.
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