抄録
‘西条’の果皮に黒変汚損が発生しやすいといわれる原因を明らかにするために, カキ‘西条’と‘富有’両品種の黒変汚損果発生と果実の肥大, 果皮組織発達との関係を調査した.
1. 両品種とも点状汚損の発生率が最も高かったが,‘西条’では点状汚損に次いで溝状, 縦線状, 破線状汚損が多かった.‘富有’では点状及び縦線状汚損が大部分で, 他の症状は概して少なかった.
2. 破線状及び雲形状汚損は赤道部から果頂部にかけて発生が多く, 波状及び縦線状汚損は果実基部に発生が多かった.
3. 両品種とも果実の発育は部位によって異なり, 果頂部に近い部位ほど生長は次第に鈍化した.
4.‘西条’は幼果時のクチクラ層が‘富有’に比べ薄く, 表皮細胞や亜表皮細胞の発達も‘富有’より劣った.
5.‘西条’で発生の多い溝状及び破線状汚損は, 果実発育後期の急激な果実肥大に伴って, 果面上の微細な亀裂の裂開が原因となる典型的な症状と考えられた.