抄録
組織化学的手法を用いて, 種子中のインドール化合物の組織内分布及び早期落果との関係について調査した.in vitro においても組織内においても, インドール化合物は p-dimethylaminobenzaldehyde-nitrite 反応によって 618nm に吸収極大を持つ青紫色色素を生成した.胚はすべての発育段階において, インドール化合物の存在に基づく強い呈色反応を示した. しかし, 細胞質状態の胚乳ではほとんど反応が見られず, インドール化合物の存在が認められなかった. 珠心組織は中程度の反応を示したが, 満開後50日目までに組織が崩壊した. 胚, 胚乳及び珠心組織のインドール化合物含量相対値を算出し, 各組織ごとにその消長を調査した. 胚の含量相対値は満開後50日目までは極めて低い水準であったが, それ以後90日目にかけて急激に増加して高い値となり, その後収穫日まで変わらなかった. 胚乳及び珠心のインドール化合物含量相対値は, 全期間低い値で推移した. 果径増加量の変化によって, 落果が予測された果実の胚のインドール化合物含量と正常果のそれとの間には差がみられず, 胚由来のインドール化合物は早期落果と無関係であると考えられた.