園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
有機物から発生するエチレンがカンキツ樹の生長に及ぼす影響
石井 孝昭門屋 一臣
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 53 巻 3 号 p. 320-330

詳細
抄録
土壌空気中のエチレンがカンキツ樹の生長に及ぼす影響を調査するために, ニチレンを濃度別 (0, 0.05, 0.5, 5及び50ppm) に4週間処理した. さらに, 有機物施用に伴うエチレンの発生とカンキツ樹の生長についても検討した.
その結果, 0.05ppm 処理区では新梢の伸長が劣ったが, 根の生長は対照区と比べてやや促進される傾向が認められた. しかし, 0.5ppm 以上になると根のコハク酸脱水素酵素活性が低下し, 特に5及び50ppm処理区では地上部及び地下部の生長が著しく抑制された. また, 根の先端部が肥大し, 褐変した多くの根が観察された. 一方, 根毛数は増加し, 根毛の形態も著しくエチレンの影響を受けることが観察された. なお, エチレン処理は葉, 新梢及び根内の無機5要素含量にも影響を及ぼした.
未熟な有機物 (稲わら, カンキツ枯枝, 鶏ふん•おがくず堆肥) を土壌に施用すると, 土壌中のエチレン濃度はカンキツ樹の生長を阻害するまでに高くなった. しかし, 十分に腐熟させた有機物の場合には, エチレンの発生が少なくなった. そのような低濃度になった場合, カンキツの根の生長を促し, 根系の拡大に有効であるのかもしれない.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top