1987 年 55 巻 4 号 p. 510-515
ホウレンソウを材料として, 脂質の加水分解に作用する Lipolytic acyl hydrolase (LAH) のクロロプラストでの存在と, 貯蔵に伴う LAH のクロロプラスト中での変化について検討した.
クロロプラストの分離には, 分画遠心法並びにショ糖密度勾配遠心法を用い, 標識酵素などの分布から, LAHはクロロプラストのチラコイドに局在するものと推測した.
ホウレンソウを25°Cに貯蔵すると, 貯蔵3日から葉の黄化がみられ, さらに貯蔵6日では黄化が顕著に認められた. 貯蔵に伴うクロロプラストでのLAH活性の変化についてみたところ, 貯蔵3日で活性が増大し, 以後減少して貯蔵6日では貯蔵当日より低い活性を示した.
以上の結果から, LAHはクロロプラストに局在し, Lipoxygenase とともにクロロプラスト脂質の分解に作用し, 生じた過酸化物がクロロフィルの分解に関与するものと推察した.