園芸学会雑誌
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ネジバナおよびコクラン共生実生の生育に及ぼす個体密度の影響
筒井 澄冨田 正徳
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1989 年 57 巻 4 号 p. 668-673

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抄録
エンバク25g/lの煎汁に寒天1%を加えた培地を用いて,ネジバナおよびコクラン種子それぞれに有効な共生リゾクトニア菌を接種し,シュート発生開始時のプロトコームを移植した in vitro での共生培養条件下で, 実生の生育に及ぼす個体密度の影響を検討した.
高密度範囲では, 実生個体新鮮重は個体当りの培地量に比例して増加したが, 密度が低くなるにつれて重量増加率は徐々に低下した. 最大の実生個体重量が得られる点, すなわち密度効果がみられなくなる点は, ネジバナでは個体当り培地量60ml, コクランでは30mlという低密度にあった. また, 容器当りの菌体乾重も, 個体密度の低下に伴って増加した.
実生の生育に及ぼす個体密度の影響は, このエンバク培地を用いる限り, もっぱら個体当りの培地養分量に支配され, 地上部の競合はこれに関与しないと考えられた.
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